つくたま2017夏の研修旅行の報告

2017年7月15日~16日に行った、「つくたま2017夏の研修旅行」の報告です。

[概要]
実施日:2017年7月15日~16日
参加者数:5名
訪問先:「藤森照信作品、北アルプス芸術祭などの見学」(長野県茅野市、諏訪市、岡谷市、大町市など)

・午前11時過ぎに、第1の目的地・茅野市内にある藤森作品に到着。利根川さんが事前に案内等をお願いしていただき、管理をしている地元の方に高過庵、空飛ぶ泥舟をご案内いただいた。神長官矢守史料館では管理人から古代にはこの地域が中心地であったことを滔々と説明していただいた。藤森さんが地元の誇りを大胆に形態にしたことがうかがわれた。

・諏訪湖畔に建つ伊東豊雄設計の赤彦記念館を見学。雨漏りに困っているという使いにくそうな建物だが湖畔の景観をシンボリックに表現。

・5時を過ぎていたが、岡谷市の蚕糸記念館も見学できた。

16日 大町市内で開催されている北アルプス芸術祭を見学。信濃大町駅前にあるインフォメーションセンターでパスポートを購入。

 

[参加者の感想]

○三浦匡史さん

一日目は、藤森建築の原点ともいえる「神長官守矢史料館」の見学が印象的だった。案内をしてくれた方の方言混じりの解説も心地よく、現代日本に繋がる弥生文化より前の、縄文期に淵源をもつ日本のシャーマニズム、アニミズムが、象徴的に建築に写し取られているように感じられた。諏訪の信仰の現場という立地も合わさり、「造形して表現する」という行為の重みやチカラを考えさせられた。また、「空飛ぶ泥船」と「高過庵」は、利根川さんのコネクションで内部まで見学させてもらえ、とても貴重な体験ができた。利根川さんに感謝したい。

二日目の北アルプス国際芸術祭の見学では、「チーム目」の作品が面白かった。さいたまトリエンナーレでもあっと驚く作品を発表してくれたが、古民家の内部をまるごと造形する力量や、ディテールまで手を抜かない仕事ぶりにあらためて感心した。「チーム目」は、昨年の瀬戸内国際芸術祭において、同じタイプの作品を路地が入り組む小豆島の街なかで発表していたが、元となる建物の性質や立地環境ができあがった作品に影響して趣が異なっていたことも新たな発見だった。

 

○利根川兼一さん

藤森照信氏デビュー作の「神長官守矢資料館」は地域の歴史や信仰をあらためて掘り起こしてくれる媒体になっているように感じられました。

また今回近くにある「高過庵」「空飛ぶ泥船」に藤森氏のご好意により入れる段取りをしていただきました。両作品とも実際に中に入るとうシャープさとでもいうのか写真で見て感じていたのと違うものを感じ、実はそれが藤森建築の魅力なのではと考えさせられました。

その後、村野藤吾氏の八ヶ岳美術館、ここは内部の空間の取り方が妙でした。伊東豊雄氏の赤彦記念館では氏の曲線のうまさを再確認。

次の日の北アルプス国際芸術祭ではいろんな意味で北川フラム節を感じた。そんな中で「目」の作品は面白かった。すんなり感じさせてくれるのがとても心地よかったです。

また開催地の大町の街並みが面白かった。とにかく作品よりも街並みの写真の方が多くなっていました(笑)

 

○中津原努さん

藤森照信の神長官守矢資料館は、土俗的宗教そのもので予想以上に迫力があった。鉄筋コンクリート造の建物の屋根、外壁、内壁などをすべて土着の材料で覆い、シンボリックな柱を取って付けた建物。建築というより舞台装置かアート・インスタレーションだ。近代建築で育った僕には考えられないけれど、面白ければいいのだなあと感心した次第。

北アルプス国際芸術祭は、大町の街並みや周辺の山村風景が魅力的で、それらと交感しているアート作品において成功している。翻って、さいたまの街並みや田園風景が、魅力的なアートを引き出す力を備えているのか。逆に言えば、ごく当たり前の風景のなかに意味と魅力を発見してアート化し、それを鑑賞するのは結構高級な技なのだろう。

 

○村田惠子さん

遠足気分ではあったが、まさか210段の鷹狩山の階段や駐車場から山道を1.3キロ歩くことになろうとは思ってもみなかった。それでも鷹狩山のてっぺんの古民家(グループ目)や八坂地区(竹のオブジェ)で、芸術家が英知を振り絞って大自然に向き合っている作品に出合えて気分は爽快であった。また、茅野市で「神(じん)長官(ちょうかん)守矢(もりや)資料館(しりょうかん)、高過(こうか)庵(あん)、空飛ぶ泥船」の3つの藤森建築を見学できたのは幸運でした。資料館は縄文時代から続く諏訪地方の歴史を体現するかのよう。御柱のような入り口の柱が鹿の角にも見える。「ここは縄文時代の日本の中心ちゃい。守矢氏は中部地方の天皇ちゃい」という資料館の番人の方言に信州人のプライドを感じた。近くに藤森神社があり、藤森氏の祖先の地であり、藤森建築の土着的、民俗的な印象はこの父祖の地、茅野との交信にあるのかなと思った。

 

○若林祥文さん

建築とアートを重ね合わせた研修旅行内容だった。利根川さんのご縁で藤森作品を鑑賞できた。地域の方々の胸の底に静まっていた怨念とでもいうのか、あるいは共同幻想なのか、縄文から続いている記憶を矢守資料館は形にしていた。村野藤吾設計の八ヶ岳美術館は可憐さを内蔵する予想外の建物だった。弟子であった関さんのお話をお聞きして、他の村野作品を見たくなった。諏訪湖畔の伊東豊雄作品を訪ね、宿泊した岡谷の街を朝歩いて、この地域の面白さに触れた。大町市は大変面白い街だ。他の都市同様に衰退現象は至る所に見えるが、街中を歩くと様々な蔵のタイプや品のある建物が点在している。芸術祭では市民との交流を図ろうとしているアート作品が良かった。

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