つくたま塾「公民連携~これからの時代のまちづくり~」の報告

つくたま塾 2019年7月12日(金) 19:00~21:00

◎講師:宮本 恭嗣さん (さいたま市PPPコーディネーター/株式会社ENdesign)

◎参加者:24名

◎場所:さいたま市生涯学習総合センター (シーノ大宮・センタープラザ)
9階 学習室2

◎タイトル:「公民連携~これからの時代のまちづくり~」

公民連携(PPP=Public Private Partnership)という言葉がまちづくりの現場で聞かれることが多くなった。この場合、「公」は公共セクター、つまり自治体や国の機関であり、「民」は企業、NPO、市民などを含む民間セクターであると思われるが、なぜ、今、注目されているのだろうか。

宮本さんは、都市再開発事業の民間コンサルタントとして数々の公民連携事業の経験を持ち、現在はさいたま市のPPPコーディネーター(さいたま市役所非常勤職員)で、公民連携まちづくりの業務に携わっている。本日は、さいたま市での取組みをお話していただいた。

当日は、いつもとは違う方々が多数参加された。塾の様子について、レポートしてみたい。

講師・宮本氏の問題意識は明確です。これまでの時代とは違う時代へと今突入しているこの時に、公民連携という全国の自治体が注目している発想・実践によって、さいたま市は市民が住みやすいと実感できる都市へと転換すべきだという。そのスタイルは、共感を得る提案をして、かつ具体的な取り組みを自ら実践し、そうした動きを後押ししている。

ご講演は、大きく分けて、現在のさいたま市の置かれている状況について、公民連携とは、先進的な事例の特徴、さいたま市で宮本さんが取り組まれている事例などについてでした。

さいたま市も多くの自治体が直面している財政危機の結果、学校や道路・公園などの社会資本の維持管理・更新費が不足する深刻な予測がでている。(たとえば、さいたま市公共施設マネジメント白書を毎年度発行している。)

こうした状況を踏まえて、氏は、自治体経営はこれまでの拡大してきた成功体験を捨てて山積みする課題を同時に、かつ複合的なやり方で解決する必要があると指摘する。

さいたま市については、「課題のないところが課題の自治体」と言われたり、「何もないまち」とも自嘲的に言われている。しかし、氏はさいたま市の可能性を指摘する。

現況は、高齢化する人口についてみてみると、2040年には高齢者が激増し、市民1.6人で1人を支えることになる。高齢者が元気に働いてもらうことが必要だ。高齢者単独世帯が激増する。医療面では、病床数・医師数不足、受療先が市外流出の傾向が続く。そして、自主財源は減ってきており、ベットタウンとしての性格は依然として強く、経済的にも地域内循環率は低く88.5%であり、年間5000億円が流出している。

だが、さいたま市への東京からの人口流入は続いている。チャンスだ、と考える。

2040年のさいたま市の目標として、「人間を中心に都市を経営する」姿にしたい。

そのためには、公民連携が必要であり、今よりも豊かな公共をつくろう、「小さな政府、大きな公共の実現を目指して行こう」というスローガンを掲げる。

これからの公民連携とは、公共サービスの生産性の向上である。公共空間の質を高めることはまちの資産価値を高めることだ。

個々の建物敷地よりも建物が集積し、公共空間も含むエリアに注目する。ニューヨーク市の荒廃した公園の再生事例では、NPO法人が魅力的な活用事業を展開し、収益を上げている。

ところが日本の公園では禁止事項が書き連ねた看板があり、だれのための公園かわからない現状になっている。最近、公共空間の再生の取り組みとして、豊島区南池袋公園、沼津市の少年自然の家INN・THE・PARK、盛岡市の複数の事例などが注目されている。

こうした取り組みでは、スキームよりも、だれがやるか、だれとやるかがポイントだ。

行政がやりたいことと、民間がやりたいこととは同じではない。行政の役割は民間がビジネスしやすい環境を整えることである。

氏が取り組んでいる事例の一つを紹介された。さいたま市に居住するパパ友4人が集まり、昨年うらわClipを結成し、市役所敷地内の水の流れる広場で子供も大人も楽しめる夕べイベントを昨年8月29日に行った。近くの商店にも厳選して出店してもらい、大勢の人たちが訪れた。予想以上の人出があり、大成功だった。その後、この団体は一般社団法人になった。https://urawaclip.localinfo.jp/ 今年も更に8月7日に開催する。

こうした取り組みでは、見立てと目利きが大事。場所+出店者の魅力を引き出すことが重要である。

また、この法人では、うらわ横串ミーティングを実施し、浦和のまちに関心があり、楽しく過ごしたいという思いの商店主や市民などが気楽に意見交換したり、一緒に話題を共有したりする集まりを継続して行っている。

今、さいたま市内では、市民が発意する活動が次々に動き出している。武蔵浦和駅周辺、与野方面。3月9日には、浦和防祭連合の防災啓発イベント「防災ピクニック」が別所沼公園で開催されて、公民連携の新しいやり方を作り出した。

「できるできない」よりも「やるかやらないか」ではないか。やってみると見えることがある。次世代に重いツケを残さないためにも、やってみる。

質疑応答では、いろいろな質疑や感想などが交わされた。日頃から地域で活動している参加者からの意見はいろいろな具体的な現場での悩みについて多かった。たとえば、既存の自治会組織において新しいことを試みた時に直面した経験者たちとの接触時の戸惑いなど。

大きな課題に対してやっていることはまだまだ小さいとも言えるだろう。しかし、これまでのように行政がやってくれること首を長くし文句を言っているよりも、格段に生産的だし、気分もよい。成功体験を積み重ねていくことが案外急がば回れ的な流れを産みだしていくように思える。(文責:若林祥文)

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