つくたま×ポタジェ塾「農地を活かすまちづくりのための制度改革の動向」の報告

つくたま塾 2018年2月28日(水) 19時~21時00分の記録

◎講師:水口俊典さん( 芝浦工業大学 名誉教授・一般財団法人 都市農地活用支援センター 理事)

◎参加者:18名

◎場所:まちラボおおみや
(コクーン大宮8F)

◎共催:NPO法人都市づくりNPOさいたま 一般社団法人埼玉を食べる

◎タイトル:「農地を活かすまちづくりのための制度改革の動向」

当日資料1:講演メモ
当日資料2:「『生産緑地研究会』のとりくみと都市農地制度改革の提言」水口俊典、小谷俊哉:『都市農地とまちづくり』72号1710所収
当日資料3:関連法制度の概要資料

*制度の提言や今回の生産緑地法改正についての内容なので、詳しい内容は当日の資料を参照のこと。

冒頭、28日に報道された都市農地を巡る2つのニュース等に触れられた。1つは東京都が来年度に独自に生産緑地を買収する取り組みを行う。もう一つは埼玉県内の企業・中央住宅のHPに都市農地は売り時であるとの論評が出された。

先生はこのテーマをつくたま塾(2014年6月)で講義された。今回は17年生産緑地法改正(以下改正法)や都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(以下円滑化法案)が国会に上程される間際ということで、17年生産緑地研究会の提言が改正案にどう反映されているのか、都市農地を巡る政策課題は解決されるのだろうかということで話をしていただいた。実は国会が混乱しており法案の審議が遅れていて、法案がまだ閣議決定されていない段階にある。
資料は3つある。なお、資料①②の文章に下線が書いてある個所は特に強調する個所。
①都市農地を活かすまちづくりのための制度改革の動向と今後の課題
②「生産緑地研究会」のとりくみと都市農地制度改革の提言
③都市農業振興基本法の概要
・参考文献として、
ニッセイ基礎研究所准主任研究員 塩澤誠一郎氏のレポート:
1)2022年問題が丁寧に分析されている。「2022年問題」に警鐘を鳴らす ~ 都市農地のゆくえ ~
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=42472?site=nli
2)生産緑地の貸借によって変わる都市農業と都市生活―都市農地の貸借円滑化法案の内容と効果

以下、気になった発言や事項を箇条書きにする。
・円滑化法は都市農業振興基本法を矮小化してしまっている。特に、農地の定義を生産緑地に限定してしまった。また、都市農業振興基本法を受けて埼玉県は都市農業振興(地方)計画を策定したが、市町村の具体的な施策を展開させる後押しになるかどうかは疑問だ。
また、さいたま市も都市農業振興(地方)計画を定めたが、いろいろなキャッチコピーはあるが、具体的な施策に乏しい。
・生産緑地指定がない地方都市圏の都市農地の減少問題に対応できない。
・農水省主流派は強い農家という基本的姿勢に固執しており、都市農業への関心が乏しい。

・豊かな生活環境を作っていくためには、都市農地の保全は必要不可欠だと思う。東京都内の農家は農協や自治体とともに、農家経営の基盤として農地を活用して付加価値をつけたり、多機能型農業を経営している。しかし、農地保全に消極的な農家に対しては、今回の法律の改正や立法は有効であるかは疑問だ。農地の転用を促したり、貸家経営を進める圧力(都市縮退時代のこれからは下手するとすぐ空き家になる)に抗しきれないのではと思う。
・安全な食の確保や環境保全に関心の高い都市住民と一緒に身近な農地保全ができる活用方策などを積極的に対応していく支援体制が欲しい。

質問) 特に東京市部における農家は、アパートなどの不動産経営を行っている場合が非常に多い。現状では、農地を保全したいという思いを持つ農家の自主的な取り組みとして、不動産経営の利益を農地の維持管理に充てている例があるかと思うが、これを自主性に任せるだけでなく、より積極的に後押しする仕組みが必要ではないか?
お金が回る仕組みとセットにして、農地の維持管理を考えていく必要があるのではないか、というのが問題意識です。

質問) 生産緑地は、税制上有利になるよう選択された方が多いように見えるが、今回の法改正で30年経過の方が10年延長の特定生産緑地指定制度を選択する方がどのくらい見込まれると考えるか、選択されなかった方が多い場合の影響はどう見込まれるか

質問) 現在検討されている都市農地貸付円滑化法では、家庭菜園で自信をつけたシニアが生産緑地の借り手となれるのか、なりやすくなるのか?

質問)田園居住地域に取り組む自治体はあるのだろうか。

質問) 円滑化法案は生産者向けなのか、都市住民向けなのか。誰に向けての内容なのだろうか。認定基準の内容はどうなのか。

質問) 今WBSで貸し農園の話題が。5,600円?/坪の賃料で事業を行なっている事例が紹介されてました。駐車場として貸すより効率良いかも、人が歩く幅だけで賃料が取れない「車路」が不要で土地効率が高い。(駐車料金換算だと21,000円/台程)
生産緑地が残る事は、都市にとっては良い事だしね。でも、駐車場代が4,000?6,000円/台程度のG市では?耕作放棄地も目立つくらいだからなぁ。

(文責:若林)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください