2014.6 「最近、発行された建物とまちを楽しむ本2冊の紹介など」 理事・若林祥文

近況ですが、今年になって稀な体験をしました。仲間と本を出せた。しかも名前と写真入りです。更にワル乗りしてNHKのFMラジオで話ができ、新聞にも載ってしまいました。

第1冊目は、県庁が発行した「埼玉モダンたてもの散歩」です。この調査で昨年後半は県内をくまなく訪ねました。県職員だったので一応県内の状況は知っていたつもりでしたが、通り過ぎていた建物を訪ねていくと、そこで営まれている住まい方を実感できました。第2冊目は、「懐かしの街さんぽ・埼玉」です。ほぼ同時期に、幹書房の出版企画に友人を介して誘われました。私は2000年から毎年、日本建築学会埼玉支所主催による県内各地で住まい・まちづくり分野で活動している市民たちと「埼玉住まい・まちづくり交流展」を開催しているので、各地の散歩コースについてはそのつながりで地域のホットな話題や場所のご紹介をいただくことができました。ある方の言葉を借りれば、それぞれの「建物やまちへのラブレター」をまとめたものです。私も日高のコースを担当しました。中世以来の場所にある大澤舎新井家を紹介でき、高麗の里コースを歩きました。1300年前に高麗民族の移住があり、この地が開かれたという。せせらぎの音、なだらかな丘、急に険しくなる山々の連なり、関東平野の外縁の日当たりのよい場所です。これからもこんな場所を探し歩くのが楽しみです。

 

「居住や土地利用は私の最も関心の高い分野です。」

こうしたことを通じて、土地と人々との細やかな会話を楽しんでいます。また、自然的土地利用から都市的土地利用のあり方をさまざまな角度から一流の講師をお呼びするNPO法人水のフォルムが開催する「水とみどりのアカデミー」にスタッフとして参加しています。特に、校長である大田猛彦先生のお話をお聞きして、土地利用思想面での森と農業の違いを教えていただいた。地球の成立ちから文明史的に説き起こし、生育・生産のタイムスケールで考えることも新鮮であった。そして、望ましい将来像に向けて現在の私たちの活動がどうあるべきかを考える機会は楽しい。

居住や土地利用を個人的な視点からとらえれば、試行錯誤が大事だ。それは土地と会話することだと思います。「会話」という語句に潜む、相手への尊敬と関心、そして注意深い眼差しは土地の様々な変貌にとって大事な感性です。自分自身を振り返り、まだ道遠しと感じています。

 

「つくたまの活動の魅力」

つくたまは、グローバルとローカルの課題を自分の中で捉えることができる場です。頭でグローバルを受け止め、身体でローカルを体験するということをしたいと思っています。つくたまのメンバーはそれぞれ地域で多彩な活動しているので、気楽に様々なネットワークに参加できるのは強味です。良い情報は努力しないと得られません。そんなことを少しづつ学べます。

私も還暦を過ぎてしまいました。着実に老人力が増加しています。私のような高齢者が年代にふさわしい地域社会とのかかわりを探ることが今の課題です。チャリティ、社会的貢献、社会的奉仕、これらの活動を包む林住期の身の置き所をチャレンジしてみたいと思います。そんな場探しをつくたまの世代を超えた活動の中でできるのが魅力です。

 

註:

・「埼玉モダンたてものーきまぐれ散歩」は、埼玉県庁が発行しており、無料です。県文化振興課などで入手可。 https://tatemono.art-saitama.jp/

・「懐かしの街さんぽ埼玉」は幹書房が出版。本体価格1300円。県内書店で購入可。 https://www.mikishobou.com/

・NPO法人水のフォルム・アカデミー https://www.w-forum.jp/akademi.html

・埼玉住まい・まちづくり交流展は日本建築学会埼玉支所HPで紹介しています。 https://news-sv.aij.or.jp/kcaij/s12/

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