2014.7 「ファンズワース邸」理事・細川清和

5月の連休中、アメリカの有名住宅、フィリップ・ジョンソンの「ガラスの家」、ミースの「ファンズワース邸」、ライトの「落水荘」、等を見るツアーに参加した。どれも大都市から100kmくらい離れたところにあるので、現役時代、幾度かアメリカ出張に行ったが行きがけの駄賃に見ることはできなかった。

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ミースの「ファンズワース邸」は1951年竣工でミースが60歳半ばの作品であるが、我々世代の建築教育には大きな影響を及ぼした住宅である。現在National Trust for Historic Preservationという保存団体が管理しているが、この住宅は建設以来幾多の試練を乗り越えて今日に至っている。建設に時間と費用がかさみ、施主から訴訟されたミースが勝ったものの、施主の要求にかなわない独断的設計の家として、当時の一般向け住宅雑誌からは酷評を受けたし、施主もこの家を愛さなかった。その後、ミース作品の愛好家バルンボ氏が購入しメンテナンスに費用をかけたので生き残り、2003年にオークションに懸けられたところ、現在の保存団体が670万ドルで落札し、今日、保存運営管理している。

この住宅はフォックス河(荒川よりかなり水量が多い)のほとりの林に建つ。ミースは河の氾濫を考慮して床レベルをGL+1、600程度にしたが、1956年、1996年、2007年と床上浸水に見舞われた。2008年にはなんとGL+2、700程の洪水となり、天井高の半分以上が水没し、プリマーベラ(オークの一種)練付けの家具は作り直しのはめとなった。

近年フォックス河上流の宅地開発が進み、流入水量がさらに増える傾向にあるという。そこで保存団体では洪水対策を講じることにした。現在3案のオプションが検討されている。①高台移転,②地盤の+2、700かさ上げ、③洪水時の建物リフトアップ。①②の費用は約30万ドル、③は300万ドルと見込まれているそうだ。案内してくれたジョンさんは③を推している。私の概算ではどの案もこれ以上に費用が掛かるが、③に至っては維持管理費用を含めると実施はかなり困難だろう。地球温暖化による異常気象の可能性を考えるとレベルアップ+2.700でも間に合わない可能性が高い。やはり、洪水だろうと津波だろうと高台移転に勝る解決策はないだろう。しかし、どこかの国のような景観を台無しにする防水堤案はオプシンには無かった。(早ければ今年の秋から工事を開始するといい、その場合は1年間ほど見学はできないので要注意)

細川清和

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